私は札幌を拠点に活動しているフリーランスのWebデベロッパーです。
2015年からフリーとして活動をしており、1年を迎えましたので、フリーになって感じたことなどまとめてみます。

※あくまでも私の個人的な体験であり、フリーランスの一般な労働スタイルと沿わない面もあるかもしれません。

フリーになる前の勤務スタイル

フリーになる前の数年は普通の会社員として生活しておりました。
常に仕事を持ち帰っており、タイムスケジュールは次のような感じです。

  • 9時 出社
  • 19時 帰宅
  • 22時 自宅作業

定時を過ぎると、気持ちが全く乗らなくなってしまうため帰宅し、食事や身支度を終え一息ついてから持ち帰りの仕事をこなすという生活でした。


当時はいわゆるプレイングマネージャーでした。

肩書が変わるにしたがって会議などの拘束される時間が増加し、「ある曜日は半日会議」とか「4半期に1度は面談ラッシュ」という状態にまでなってしまいました。

プロジェクト内の役割や作業量は一定 でしたから、プロジェクトの進捗を維持するためには残業するしかありません。

このように仕事を持ち帰っていたものが常態化し、「どうせ家で作業するから」と常に自宅で作業するようになってしまいました。
(持ち帰りについては社風によりますね。)

2016年現在、atuwebのステータス

フリーランスといいますが、要するにただの個人事業主ですね。

今のところ「現在はエージェントさんにお仕事を探していただいて、私は札幌の企業さんに常駐する」という形でのお仕事がメインです。
初めての現場で1年が経過しますが、居心地良く、そのまましばらくこちらでお世話になることになりそうです。

余談ですが、会計ソフトは「クラウド会計のフリー」が超絶使いやすくオススメですよ!

この1年間で起きた変化

コーディングに集中できるようになった

私にとってフリーとなることは プレイングマネージャーから単なる作業員に戻る ことでもありました。

必要に応じて簡単な打ち合わせはあっても、「誰かから呼び出しが入って作業の手を中断せざるを得ない」ということが、ほぼありません。

コンテキストスイッチ(* 1)の影響は以前から認識しておりましたが、集中状態を継続できることがこんなにも快適だとは、、、久しぶりの感触ですね。

集中できますから面白いように進捗が上り、達成感が得られます。
「何とかオンスケにもっていく」のではなくて「常に前倒し」ができ、 スケジュールに余裕がある 状態を維持することができております。

結果として、決まった時間で作業を終えることができ、定時時間を過ぎてまでプロジェクトのことを考えることがなくなりました。

自由時間が増えた

残業や持ち帰りの作業時間がほぼゼロになったことで、自由な時間を確保することができました。

自宅作業をしていた頃の就寝時間は12時過ぎで、起床後は支度ができたら通勤開始というリズムです。
睡眠前まで仕事をこなしている状態ですから、自宅でもそれほど休んだ気にならず 労働力の再生産が満足にできていない状態 であったといえます。

読書の習慣や、情報処理技術者試験の勉強などを行うことはありましたが、正直に新しいことを始めるにはちょっとしんどい環境だったといえます。


今は常駐先を出ると完全にプロジェクトを忘れられる状況であり、精神衛生にとても良い環境であるということができます。
帰宅後はリフレッシュできますし、就寝時間が早くなることで生活リズムが 夜型から朝方にシフト できたというのは大きいです。

朝のすがすがしい空気の中、誰にも邪魔されず、ハイパフォーマンスな状態で自アプリのコーディングをしたり、ブログを書いたり。
こういったことができるのは本当に素晴らしい時間です。

朝仕事のすばらしさは様々な方(* 2)が語っておられますね。

しかし、残業が常態化している時点でこういったリズムの生活を組み立てることは難しいと思われます。

自分のスキルに対する認識が変わった

フリーランスは外部要因としてプロジェクトに参加しますから、プロパーさんと比較して「 結果にコミットする 」姿勢がより強く求めらます。

また、経営サイドの方々は「すでに社内で抱えているプロパーより」も「これから新たに雇う外部要因」に対してシビアであることが普通です。
当然ですけれども「使えるか使えないか」「高いか安いか」はしっかり見られます。

ですから、フリーランスは 100%結果を出して当たり前 というくらいの意識でいったほうが良いです。
私も「今、お客様に価値を提供できるという強みがあるため、お仕事をさせてもらうことができる」という意識が強くなりました。

しかし、IT業界は特に技術的なトレンドの寿命が極端に短いです。
今は手持ちのスキルセットが価値を生み出しているかもしれませんが、数年経過した後に同じだけの価値を提供できるということはまずありません。

ですから、自ら勉強し、自己投資を繰り返すことで「客様には常に価値を提供していく」ことができる状態を維持してくことが大切だと考えております。


時々「業務で必要となる知識は会社負担で勉強させるべき」というような主張を目にすることがあり、ある程度は「それもそうかな」と感じます。

しかし、フリーランスが同じ感覚だとヤバイですよね。

フリーで「面白い経験ができるプロジェクト」や「次につながるスキルが得られそうなプロジェクト」を選んで現場に入ることは、ある程度はできると思います。
しかしながら、所詮外部要因に過ぎないフリーランスが、他者様のプロジェクトで新しい経験を得るというのは稀であり、非常に贅沢なことなんじゃないかと思います。
希望通りの現場に入ることができれば、それは たぐいまれな幸運 と考えたほうがよいのではないかと。

繰り返しになりますが、自ら勉強して自らチャンスを作る、という意識を持つことが大切なのではないでしょうか。

本を買うことに迷いがなくなった

技術書はエンジニアの成長のためには欠かせないもです。
専門書は高価ですから個人がお小遣いの中から購入するには勇気が必要な場合がありますよね。

その点フリーランスは必要なものは経費と考えられますから、いちいち勇気を出さなくてもいいんです。

損して得取れ 」と言いますが、フリーランスという立場なら成長やお仕事につなげるための投資をケチるべきではありません。
逆に言うと「何でもお仕事に結びつける」くらいの考え方を持っていていいと思います。

まず’損’をしなければ’得’はあり得ません。

つまり、 投資があってはじめて利益に結びつくわけであり、この順番が逆になることはない のです。
言葉通りです。

技術書やビジネス書など、アプリ制作用の資料などは、1年間で結構用意したと思います。

投資については、ノートPCやガジェット類なんかにも言えることですね。

仲間が欲しくなった

先に述べた通り、フリーランスは外部要因としてプロジェクトに参加するケースが大半で、「 お客様の先に自分が一人ポツンといる 」ような状態が発生しやすいと言えます。

それってけっこう孤独です。

現場は千差万別ですから、合わない現場に入ってしまったら、それだけでキツイ状況になってしまいます。

逆に、現場が和気あいあいとしていて、プロパーさんと仲良くなることができればそれなりに楽しむこともできると思いますが、こういった場合でも「お客様はあくまでもお客様」という認識を捨ててしまうことは危険ですよね。

とうことで、仕事とは一歩離れて情報を交換したり、一緒に何か作ったりするという「 ゆるく横につながることができる仲間 」をもっともっと増やしていきたいと感じました。

仲間は増やしたいですが、上司はいりません。

私に上司はいらない by atuweb

ここ数年でコワーキングスペースも増え、いわゆるノマドっぽい方々が集まって作業する場も増えましたが、基本的には一人であって孤独だと思います。

コワーキング+何らかのイベント参加などでちょっとした知り合いを増やしていくと、面白いことが増えそうです。

自由である

ごちゃごちゃといっても、結局のところフリーランスは自由です。

何をするのも自由です。
「常駐先が合わなければ別のところを探せばいいや」という発想があることも確かです。

そして、働くのも、働かないのも自由です。

私は2015年に1か月程度の空白期間をつくりましたが、その時は計画していたアプリの開発が思うように上がらず、現実逃避でスマブラばかりやっていました。 そういうことも自由です。

自由ですが、、、生きていくためにはそういった 誘惑を突っぱねて活動していこうとする意志の強さ みたいなものが必要なのも、やっぱり間違いないと思います。

気持ちの余裕

「一言でいうと”ゆとり”です」
あ、これ身内ネタです

私の場合、働き方を変えたことで時間的な余裕を持つことができるようになりました。
そのため、リフレッシュの時間も充実し、気持ち的な余裕につながっています。

正直に 無意味で消耗する会議に呼ばれない というだけでも、気持ちを維持することにつながってますね(笑。

加えて私は、フリーランスでありながら安定的に収入を得られる状態のため、「収入を確保するために奔走する」といった経験は今のところありません。
かなりノーリスクであることを意識しております。

フリーランスでありながら、プロジェクトの見通しが立っている点は本当にありがたい状況であるといえ、この点もかなり気持ちの余裕につながっています。


気持ち、時間、お金 すべてに余裕がある って最強じゃないですか!!!

お金について、札幌は首都圏と比較して 生活コストが低い ということも、もちろんあります。

フリーランスになるのは簡単

以前「 普通の会社員程度スキルがあれば、フリーランスになることはできる 」という内容のことをおっしゃっている方がおられましたが、まさにこの通りだと思います。

実際に私がそうであるように「苦手な営業活動」など全く行わなくても、非常にタイミングよくフリーランスに移行することができました。
それはエージェントさんと契約し、こまごましたことをエージェントさんに代行してもらっているところが大きいです。

はじめの一歩を踏み出そう(* 3)」で指摘されている通り、「技術に自信があるから即独立」といった安易な職人的起業はハイリスクすぎです。

起業し長期でやっていくためには相当の準備と覚悟が必要だと思います。
当然ですが。

そうではなく、私のように「普通のスキルの普通の人」が次のステージに進むためには、エージェントさんに協力をお願いすることは近道の一つだと思います。


私はまったくの準備不足でしたから、自分一人で今のこの状態を構築していくことは無理でした!

エージェントさんを通じて私の人脈では絶対に知り合うことができなかった企業さん とお仕事のお話ができたことは非常にラッキーだったとしか言いようがありません。

IT業界は慢性的な人材不足ではありますがスキルが良くても、タイミングが悪くてお仕事に結びつかないといったお話もよく聞きます。
ですから、タイミングは考えている以上に重要なのです。

エージェントさんを利用せずにフリーになる方も多数おられると思いますが、私はエージェントさんとお付き合いすることができて良かったと思っていますよ。

今は新しいことを経験しながら、数年をかけて少しずつ「今の自分に不足しているもの」を獲得していための期間、そう考えています。
そして、次のステージを目指します。

フリーランスでも潰しはきく

私が、フリーランスになろうと考えたきっかけの一つとして「 もっとほかの会社さんと関わってみたい 」という気持ちがありました。

日本ではまだまだ転職に対する世間の目は冷たいですし、一度就職してしまったらなかなか次の会社へとは行きにくい文化が根強いです。

かといってどんなに外から見て魅力的に見える企業さんであっても、実際に働いてみないと見えない部分もたくさんあります。
年齢的にも「就職期間が3か月」とかの履歴書になってしまうことは避けたいですよね。

フリーランスという立場なら就職するわけではありませんので、 現場を変えながら複数の会社さんの中をのぞくことができる のではないか、という期待があったわけです。

それに、もし フリーランスが合わなければ、また会社員として就職すればよいだけ の話です。

サラリーマンでは経験できないことを、経験しているのは間違いがありませんから、もしフリーランスから会社員戻ることになったとして、マイナスなんて一つもないと私は考えています。

しかし、私のお目にかかった方で「ある程度まとまって働いて、残りの期間は休む」というスタイルを徹底されている方が実際にいらっしゃいますので、そういう生活を味わってしまった後にサラリーマンに戻りたいと考える人がどれくらいいるか、ですけれどもね。


自分の人生は、自分でデザインすることができる

これは一見当然のことですが、日本という国はそういう考えが生じにくい社会なのではないかと感じます。

Why Japanese people !

しかし、フリーランスになって 自由度が増すと「自分で決めていい」という意識が高まり ます。
「上司が」「納期が」というのではなく、手を動かして自分のキャリアを作り上げることができるなんてワクワクするじゃありませんか。

フリーにならなくてもやりたいことはやれますが「 一度立ち止まって考えてみる 」ことはぜひ実行してみてください。

フリーランスになるなら

フリーになるにあたって最も良い環境は、やはり首都圏ですね。
単価が違いますし、そのため仕事の数も違います。

「イノベーション企業は厚みのある労働市場とビジネスのエコシステムを求めて特定の地域に集約する」ことは『年収は住むところで決まる(* 4)』が指摘している通りです。

エージェントさんの数も首都圏でスト絶対数が全く違いますから、首都圏にお住まいの方はぜひその環境で高みを目指してください。


今までお付き合いしてきた中で「良さそうだな」と感じたのはgeechs(ギークス)さんですね。 ギークスさんからいらしていたアプリエンジニアの方に「 Webならいくらでも仕事あるよー 」というお言葉をいたただき、フリーになる踏ん切りがついたものです。

また、大手のレバテックさんもいいですね。

名前を聞くところはそれだけ稼働実績があるわけです。 「 案件数 == 選択できる幅がある 」ということは意識するといいと思います。

また、高額案件がそろうエンジニアファクトリーさんも登録者さんが増えているようですよ!

おわりに

なぜフリーになろうと思ったのか、とかマイナス点など、書ききらなかったことがたくさんある気がします。

来年になったらフリーランスも3年目というタイトルで記事を書きますね。

注釈

  • 注1 コンテキストスイッチ コンテキストスイッチについてはプリンシプルオブプログラミングのP.261をご覧ください。
  • 注4 エンリコ・モレッティ 『年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学』

2016年10月08日:若干の追記