新しい働き方 」という言葉は多くの人が夢を抱くワードだと思います。

先日、働き方改善とテレワークについて取り扱った書籍『あなたのいるところが仕事場になる』(森本登志男 著) を拝読いたしました。
感じたことなどをまとめます。

書籍

概要

「働き方」を変えれば、人が動く。会社が変わる。地域社会が生まれ変わる。
「オフィス」中心から、「人」中心の働き方へ


本書は時間や場所に縛られないフレキシブルな働き方として、テレワークの紹介と導入方法などを幅広く紹介、説明したものです。

「先進的な働き方を実践する企業や自治体」として、カルビー、東急電鉄、セールスフォースドットコム、鯖江市、大阪狭山市など複数の事例を掲載しています。

目次

  • 1章 「働く」にまつわる悩み
  • 2章 テレワーク社会の到来
  • 3章 「働く」の概念を一変させた3つの先進的な組織
  • 4章 「地方」「企業」「働き手」すべてにメリットをもたらすテレワークの可能性
  • 5章 テレワーク成功の処方箋
  • 6章 未来の「働く」は、地域社会で始まっている

感想その他

テレワークは IT 企業だけのものではない

テレワークというと、いわゆる「在宅勤務」をイメージする方は多いと思います。
私も本書を読む前はそうでした。

テレワークとは「情報インフラを活用した働き方」です。
本書で取り上げているテレワークの形態は、大きく「タブレットなど移動機の活用」と「自宅を含む、サテライトオフィスの活用」の2に分けられます。

たとえば移動中にスマホでメールの対応したり、出張先からタブレットで報告を行うこともテレワークであるといえますから、身近なものと感じられるのではないでしょうか。

「テレワークを導入しましょう」というと、いきなり「 在宅 ! 」と思考が飛躍してしまう方もあるのではないかと思いますが、本書は全体として「 今のリアルな労働に付随する制約をちょっと緩やかにして、柔軟な働き方を認めていこう 」というスタンスであることが感じられました。

IT 関連の会社さんは知識がある分テレワークに対する理解もありますが、本書を読むと どのような企業さんでも(たとえ部分的ではあっても)テレワークを取り入れていくことが可能ではないかと感じました。

選択肢が増えることで生まれる可能性

本書によると、今後企業は「 質と量の両面から見た人材の確保 (p.24)」が課題になるといいます。

「質」とは、商品、サービスの品質や納期などレベルを維持するために必要な人の数を指します。

「量」とは、個人のスキルでははなく、高いモチベーションを持っていることを指します。

少子化による労働人口自体の減少に加え、育児や介護などライフイベントにより労働に制約があるという方は今後も増加すると思います。


本書ではテレワークを「 働き方の選択肢の一つ 」と表現しています。

例えば、「サテライトオフィスへの勤務」が認められ、片道1時間の通勤時間が20分に短縮されたとしたら、空いた40分の中ででできることは多いと思いませんか ?

例えば、「月に数日は在宅での作業も可能」で、在宅作業になんのペナルティもなければ、子供が熱を出してしまっても対応することができますね。

このように「 常に在宅ではなく、必要な時に在宅で仕事をすること選択できるとゆう緩やかな制度 」を認めると、「仕事か家族か」の二者択一ではなく、両立できる可能性 が出てくるといいます。


子供が熱を出したからと、申し訳なさそうに早退するお母さんはたくさんいらっしゃると思います。
職場に家庭の事情を持ち込むことが、なぜこれほどまでにタブー視されるのでしょうか。
みんなで首を絞めあっている状況だなーと感じます。

ですから、もし似たような仕事で「在宅も可能」な会社さんがあれば、みなさんそこで働きたいと思いますよねぇ。

顔が見えない、という不安

テレワークを導入しうまく稼働させるためには次の3つの要素が必要だといいます。(p.205)

  • 情報インフラの整備(ITC環境)
  • 制度の整備
  • 組織風土の醸成

このうちどれか一つが欠けてもテレワークはうまく機能しないといいます。

制度だけ作ってもうまくいかない 」のです。


多くの人が「 上司の目が届くところで部下は仕事をする、という意識が今も残っている (p. 171) 」と指摘する通り、テレワーク導入の最も高いハードルが「管理体制」ではないでしょうか。
インフラや制度を整えても、人を変えていくことは簡単ことではありませんね。

本書でも「 管理職層がテレワーク推進の成否のカギを握る (p. 194)」としています。 それは承認権限を持っていること、「従来とは違う働き方の導入といった変化を好まない年齢層が中心」であることなどが理由としてあげられます。
「上司の方針が部署の温度差となってあらわれる」のです。

本書ではこれに対し、管理職層に対する研修の実施や週1回のテレワークを義務付けなどで解消を図っている事例が紹介されていました。


離れた場所で仕事をする不安感を払拭するためには「言われていないから報告しませんでした」という姿勢ではいけません。

離れた場所で部下を管理する問題は、いかに自分たちの仕事をシステムも含めて可視化しておくか、ということが重要。 (部下の側も)自分の成果をどのように見せるか、アウトプットを常に意識することが大切になる。
p.120

上記の言葉に示されるように、行動面を変化させることが必要で、システムの面でそれを支援できるような仕組みがあると良いと考えます。

私のテレワーク体験

私はテレワーク推進派です。
それは、数日のレベルではありましたが、過去 実際にテレワークを行なってものすごく良い体験になった と実感しているからです。

最後に、私のテレワーク体験についてご紹介いたします。


私は4年ほど前に 沖縄でのリモートワーク という貴重な時間をいただくことができました。

伊計島への途中で撮影 この写真は pixabay でも公開中
伊計島への途中で撮影 この写真は pixabay でも公開中

過去に所属しておりました企業で沖縄出張のお話があり、真っ先に手をあげました。

そしてハイシーズンの沖縄で約2週間を過ごし、アフターや週末に沖縄を満喫することができました。
当時の仕事は、結果としてとても変則的になってしまい大変ではありましたが、オフィスを離れることが可能であることがわかりましたし、当時の経験はかなり強い思い出になっていますね。

そして「また行きたい」が仕事を頑張るための強い内的動機付けになっています。


Web系のお仕事は通信環境とPCがあればお仕事ができます。
その前から緊急時に仮想デスクトップを利用するなどしており下地を整えていたということはありましたが、「 やってみればなんとかなるものだなあ 」と実感しましたね。

環境を変えて働くことは大変な刺激です!

来年あたり、また遠隔地でのテレワークに挑戦してみたいなと思っています。

おわりに

『あなたのいるところが仕事場になる』はリアルな「テレワーク」についての考え方、実例を示してくれます。

本書を読み、よく言われることですが、組織のトップがテレワークの重要性を周知したり、テレワークの利用がデメリットにならないような評価制度も含めて体制を構築していくことがポイントになりそうです。

テレワークを導入することで「誰が喜ぶのか」「使う人が本当に嬉しいのか」、よく見極めないといけません。

「在宅勤務は効率が上がる」という人もいれば、「家では仕事ができない」という人もいます。一律に押し付けても、 人それぞれに個人の事情やキャラクターの違いもあります。
p.214

テレワークの導入とは働き方の改善へと繋がりますが、「なぜそれを行うのか」を見誤らないようにすることが必要そうです。
そして「パッケージ化して企業に当てはめる」ことが難しく、フルオーダーの覚悟で取り組んだ方がうまくいくだろうなと感じました。


本書にはヒントがたくさんあります。
多様な働き方を模索されている方の一助になることと思います。

余談ですが、ちょっと前に「あなたのいるところで勤務できます」といったキャッチの求人あって、思わずクリックしたところ、実際は「 今お住いの地域にある会社さんに常駐 してもらいます」ということのようでした。
「それいつものと変わらないじゃん」とツッコミをいれてしまいましたが、「これはうまい表現だなぁ」と変に感心もしてしまいました。