「町工場の全社員が残業ゼロで年収600万円以上もらえる理由」を読了しました。

内容紹介

NHK『クローズアップ現代+』『おはよう日本』で取り組みを紹介!
残業はなくなった、売上と利益は増えた、社員の給料も増えた!

「接待ゼロ」
「大口顧客ゼロ」
「特殊技術ゼロ」

それでも社員も会社も儲かる仕組み。

本書は吉原精工さんが取り組んでこられた経営改革を紹介する書籍です。
会社の成り立ちから、経営危機を乗り越え、体質改善を行った経緯など、吉原精工さんの歴史が凝縮されています。

ワイヤーカット加工による、うまい・やすい・はやい のワイヤーカット加工専門会社 吉原精工
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感想

楽して儲ける

同社の体質次の一文に象徴されています。

「楽に働いて必ず定時で退社することが社員の満足度アップにつながり、ひいては会社の利益につながる」
p.137

日本人は本当に勤勉な人が多く「 楽して儲ける 」というあたりにアレルギー反応を示す人が少なくありません。

しかし、「楽して儲ける」というのはいろいろな工夫が必要で、実はそう簡単な話ではありません。
p.136

結果的に「楽」をするためには徹底的に考え、アイデアをひねり出し、それを実現していかなければなりません。

眼の前にある作業をひたすら片付けることも努力ではありますが、 努力の方向性 は常々意識しなければなりません。

自分が嫌なことは社員にもさせない

  • 上司が残業しているのに先に帰れない
  • 手当がつかないのに、居残りや早出を共用される
  • 遅刻には厳しいのに、残業にはルーズ

会社あるあるですね。
こういった経験をされている方は多いのではないかと思います。

こういったことは非合理であり、社員に負担を強いるものです。
これに対し、本書は次のように説きます。

社員がする仕事に対して十分な報酬で返すこと、休日等の社員に対する待遇を良くすることこそ大事
p.128

会社として「 頑張っている社員に良い待遇をする 」ことは、実は長期的に見てとても合理的なことなのです。
そういう姿勢がしっかりあらわれていると感じました。

残業ゼロにすること

残業を減らしたことによって「ミスが少なくなった (p.46)」というメリットもあったといいますから、やはり長時間労働を避けることの効果は大きいですね。

実際多くのビジネス書で「 残業を減らすと生産性が上がる 」と目にします。
心身共に疲労した状態では頭も体も鈍りますから、これは当然のことです。

しかし経営者サイドから考えると、「残業ゼロ」のようなことを実践することは大きな恐怖を伴うようです。
「目に見える努力が見えたほうが簡単に安心できて楽」だからです。

この点について著者の姿勢が端的に現れている箇所がありました。

「やってみてダメなら、やめればいい」
そんなふうに考えて、いろいろとチャレンジしてみているだけなのです。
p.61

これこそが「努力」なのですね。

「名人・達人」ではなく、「プロ」を育てる

同社の「名人仕事は目指さない (p.176)」という方針も、合理化を進めていく上で大切なポイントだと感じました。

会社経営という観点では、個人の技量に頼る仕事はないほうがいいと思っています。
p.176

努力によって高度なスキルを身につけたことは素晴らしいことで、著者もそこは否定していません。

中小企業では「少数のずば抜けたスキルを持つ社員」が売上の大きな比率を占める、という状況がありえます。
そのような人が独立するなど、何らかの理由で現場から離脱することになった場合のダメージはかなりのものだと予想できますね。

オライリーの書籍に「バス係数」というお話があります。
わたしたちがいつバスに轢かれるか予想するはできない 」というものです。

要するに属人化の話なのですね。

また、仕事の割り振りを行う際に「パズルのように割り当てる人員を組み立てる」のではく、「能力を均質化することで作業割り振りのコストを下げる」という効果も狙ったようです。

そこで、同社は数値化することが難しい「名人・達人」を目指すのではなく、 要求水準を明確化し、その水準を満たす「プロ」を育成することで工場全体の効率アップに成功した ということです。

社員全員が部長の肩書

また、本書でいいなと感じた点に「名刺の肩書」があります。

一方で、私は社員全員に「部長」という肩書のついた名刺をもたせています。
ただし、「部長」の名刺はプライベート用です。
p.133

その理由は、 子供から仕事について聞かれたときに堂々と「部長」と答えることができる ためとありました。

「苦肉の策」ということですが、このような視点で従業員のことを考えることができることが素晴らしいですね。

おわりに

本書事例の一つ一つは「よく聞く」「当たり前」のことかもしれません。
しかしながら、ブレずにこれを実践していることは大変な努力を伴うことであるというのは疑いようがありません。

労働環境を変えたい方はぜひ本書を手にとってみてください。
とても勉強になりましたよ。


バス係数はこちらに掲載されています。

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この記事の著者 Webrow (うぇぶろう)
Web アプリ開発、 Web 顧問 エンジニア、WordPress サポートいたします。