タイトルを見て思わず手が伸びてしまった本、
考える力とは、問題をシンプルにすることである。 』を読了いたしました。

考える力とは、問題をシンプルにすることである。

考える力とは、問題をシンプルにすることである。

苅野 進
出版社:ワニブックス  発売日:2018-11-27

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本書の目的は、
作業量は減り、スピードは上がり、成果は最大 (p.1) 」になるような
根本的な解決策を生む、本質的な問題を設定 (p.1) 」することができるようになることです。


本書内容は大まかに次のようになっています。

  • なぜ「問題設定」が重要であるか
  • 解決すべき「問題」を見極めるためのポイント
  • フレームワークの紹介
  • 常用収集と分析方法について
  • 応用

著者は経営コンサルタントを経て、学習教室「ロジム」の代表を努めておられる方です。

15年をかけて授業を設計したとある通り、例を豊富に挙げ、やさしい口調で大変わかりやすく論が展開されます。

また、事例紹介やケーススタディも豊富に掲載があり、実践につなげるための設計がされています。

感想など

そもそも、その課題は適切か ?

本書第一章では「なんとしてもある中学に受験合格したい」という希望を持つ生徒さんの例が紹介されていました。

現学力では間関であるその学校に合格するためにはどうするか。
対策として

「みっちり学習計画を立て、娯楽は我慢してずっと勉強する」

という生徒さんに対し、筆者は

「なぜその中学に合格したいのか」という点からヒアリングし、結果、志望中学を変更 したと経緯が紹介されています。

10歳そこそこの小学生が「娯楽を我慢してずっと勉強する」という富豪的解決法を実践できるでしょうか。

毎日勉強に明け暮れ、もし合格できれば美談になるかもしれませんが、世の中そんなに都合の良いストーリーばかりではありません。 受験に失敗したときのダメージの方が心配です。


こののように「 現状やコストを無視した困難極める課題 」を設定してしまうことは、現実にいくらでも例があることではないでしょうか。

私たちが持っている、時間や体力などのリソースは限られています。 ですから「 適切な課題を設定し、効果的な打ち手を打つことで、現状の改善に近づける 」ことが非常に重要なのです。

問題設定は上流

よく言われるように「 適切な問題を設定 」することは、たいへん難しいことなのです。
次の、「上流の作業」という表現がとてもしっくりきました。

問題設定というのは、勉強においても、ビジネスの世界おいても上流の作業です。
スタートの間違いは、下流に行くに従って増幅され、全く違う到達点に至ってしまいます。
だからこそ、問題設定力というのはリーダーにとって必須の能力ですし、リーダーになる前からしっかりと鍛えていかなくてはいけないものです。
p.27

問題設定、課題設定が重要であるにもかかわらず、私も含め、苦手という方が少なくないと感じます。

学校教育は

  • 課題を与えられ
  • 与えられた課題を迅速に、的確に処理する

ことに主眼が置かれてきたように思います。

そのため、私たちは「 問題そのものを設定する」ということを学びトレーニングする機会 が圧倒的に少ないという状況に置かれてきたのではないでしょうか。

しかし、現実を生きる私たちは

しかし、現実とは大きな違いがあります。
それは「問題そのものを考えなおす」ことができることです。現実的にはもっと厳しく「委ねられている」と言ってもいいでしょう。
p.3

という通り、「 与えられた問題が、そもそも適切とは限らない 」のです。

ですから、「最終的な目的はなにか」「目の前の問題はその目的を達成するものか」 を繰り返し、繰り返し問う姿勢が重要になるのです。

「最終的な目的はなにか」
「目の前の問題はその目的を達成するものか」
を常に考える。
p.42

そもそも、「どう生きるか」という問題に対しては、自分で課題を設定するしかありません。

優先順位をつけられない、という思考停止

IT業界に「最優先課題が10個ある」のような笑い話があります。

  • 手当たり次第に手を付ける
  • 複数の問題に同時に手を出す

このように「捨てることは難しい」ものです。
しかし、「全部重要」というのは「何も考えていない」のとほぼ同義です。

何を後回しにして、何をやらないかを判断する 」は、問題を設定する上での重要なスキルです。


とはいっても、多忙を極めるとついつい目の前の「作業」をこなすことで手一杯になってしまうものです。

これについて本書には次のようなヒントが記されていました。

5つの問題を同時に5年間かけて解決するよりも、1年にひとつずつ解決していく方が効果が高いでしょう。
なぜなら、ひとつ解決することで良い波及効果が生まれ、残りの4つについていくらか好転することがあるからです。
また、5年間のうちに周りの環境も、自分の状態も変化するので解決すべき問題や目的が変化してしまうこともありえます。
よって、うまく問題を選んで集中的に取り組むことが大切なのです。
p.53

上のとおり、 「同時に1ミリずつ」進むよりも「一つ一つ片付ける」ほうが効果を期待 できます。

そして、そのためには

A 取り掛かるべき問題をいくつか抽出する

B 優先順位をつけて絞り込む

私達は、AとBの作業を常に行き来して、「より効果的な問題に取り組んでいるか?」を確認していく必要があります。
p.54

本書ではこれを「 A と B を行き来する」と表現していました。


また、「あれもこれも」と手をのばすよりも、簡単にはじめられて、小さくても短期間で効果が出るもの に手を付け、細かく改善を回すことが良いようです。

なるほど、

「小さな成功体験を積み重ねる」

「小さい課題なら、転んでも、ダメージが小さい」

ということからも、メリットがあると言えそうです。

おわりに

ZOZOTOWN やメルカリなど身近な例も多く、わかりやすく展開されていています。

そして、読後「がんばるぞ !」という気持ちになりました。

問題設定が重要なのはわかるけど、でもどうしたらいいかわからない ? 」という多くの方におすすめいたします。

考える力とは、問題をシンプルにすることである。

苅野 進
出版社:ワニブックス  発売日:2018-11-27

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本記事で取り上げていないヒントも多数ありますよー。

なお、「課題設定」は「問題設定」とほぼ同義だと捉えています。
当記事では本書に従って「問題設定」という表記にいたしました。

この記事の著者 Webrow (うぇぶろう)
Web アプリ開発、 Web 顧問 エンジニア、WordPress サポートいたします。